クワンソウ|睡眠改善効能|その他の効能|効率の良い食べ方

クワンソウ|睡眠改善効能|その他の効能|効率の良い食べ方

今回紹介するのはアキノワスレグサ。
オレンジ色の花が印象的な睡眠改善を助ける魅惑の薬草です。

またの名をカンゾウ(中国名)といいますが、沖縄では琉球王朝時代から伝承されている野菜の一つ。
方言で”クワンソウ”という呼び名で親しまれています。
なぜ沖縄の先人たちはクワンソウに眠りの効果があると知っていたのか。
効率のよい食べ方は油がいいかも?
あれこれ調べてみたので、紹介していきたいと思います!

 information

科名 ユリ科/多年草/ワスレグサ属
和名 秋の忘れ草
別名 カンゾウ/トキワカンゾウ
沖縄方言名 クワンソウ/ニーブイグサ
学名 Hemerocallis fulva var. sempervirens
原産地 中国
草丈 50~80cm

 クワンソウ/アキノワスレグサとはどんなハーブ?

クワンソウは沖縄の方言名ですが、別の呼び名もあります。
”ニーブイグサ”
沖縄には寝てばかりいる人を「ニーブヤー」と呼んだりします。
「眠気がするなー」とか「ウトウトしそうだなー」と言う場合に「ニーブイするさー」とか、言ったりします。
あまり使わなくなりましたが、昭和生まれの沖縄の大人はみな理解してくれます。たぶん。
食べると眠くなる草→ニーブイクサ
そんな感じで、昔から民間薬として”眠りに効果がある薬草”として重宝されています。
ちなみに、クワンソウの呼び名は沖縄の方言名ですが、カンゾウ(中国名)がなまって、クヮンゾウ、クワンゾウ、クワンソウとなったと推測されています。

 クワンソウの特徴

花は一日しか咲かない
眩しいほどのオレンジ色の花を咲かせます。まぶしすぎてスマホのカメラがバグってしまうほど。
一日しか咲かないなんて、不思議ですね。

クワンソウ
画像編集はしていません。花が眩しすぎたのでしょうか。バグってます。

睡眠改善効果で注目を集めている
長年、睡眠への影響については解明されていなかったクワンソウです。
研究する人がいなかったとかで、確証がないまま言い伝えは独り歩き。
本当に睡眠効果があるのか?
そもそも、そんな話聞いたことないよ?と半信半疑だったクワンソウの効能。
しかし、クワンソウ栽培に取り組む農家さんや、
睡眠障害に悩む現代人のための天然素材を探求する企業が増えたことで
クワンソウの研究がすすみ、ようやく沖縄の人だけが信じ続けていた薬草は、
睡眠で悩む人々の希望となったのです!バンザイ!

睡眠を薬で解決しようとすると副作用で悩まされたり、
必ずしも自然な睡眠が得られるわけでないなど問題が多い反面、
クワンソウから睡眠に影響を与えるであろう成分を抽出し、マウス実験で経口投与(口から飲ませる)することで
睡眠改善効果を示す可能性が出たそうです。
天然素材で安全性が高いことが注目されている理由です。
研究して下さった方の資料が閲覧できます。
素人にはチンプンカンプンですが、素直にすごいなーと思いました!

ネットで見つけた研究資料

すごいですねー。
しかし不思議です。
なぜ私たち沖縄の祖先はクワンソウの睡眠改善の効能を知っていたのでしょうか。
ね。
上記リンクの研究報告書には、

クワンソウから単離した睡眠調整作用物質オキシビナタニンが
睡眠改善効果をもたらしている
オキシビナタニンは経口投与時に有意な睡眠改善効果をもたらした。
よって体内で代謝された後に活性を示すと考えられる。
腔内投与には活性を示さなかった。
睡眠の導入や持続ではなく、覚醒の抑制に働いている可能性がある。

つまり、口から飲んだら消化して、体内で分解されて効果がでるけど、
腔内投与(腹部、骨盤、胸部などの腔の内部)では効かない。
睡眠薬とは違う働き方じゃないとしたら、興奮を抑えてリラックスしてるんじゃないの?
それが眠くさせているのでは?
と、わたしなりに解釈してみましたが、みなさんはどう思われますか?

ちなみに、ハーブ全般に言えることですが即効性があるわけではございません。
ゆっくりと浸透するように、普段の食事に取り入れる、続けることで効果が得られるようです。

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沖縄伝統野菜の一つ
沖縄独自の伝統的農産物といわれている28品には、ある定義があり、クワンソウはこの条件をクリア。

伝統的農産物の3つ条件
その1 戦前から食されている
その2 郷土料理に利用されている
その3 沖縄の気候、風土に適している

残り27品はどんなもの?
興味のある方は農林水産物データベースで調べることができます。

クワンソウは琉球王朝時代(1429~1879年)の宮廷料理にも登場しており、
冊封使歓待の献立に登場。中国の外交のおもてなし料理に、クワンソウが使われていたようです。
冊封使ってなに?
琉球王国ってどんな国?
沖縄には日本とは違う歴史背景があります。
興味のある方は那覇市歴史博物館の公式サイトでタイムスリップしてみましょう!

那覇市歴史博物館の公式サイト

全部まるごと食べられる
葉も茎も食べられる。
根っこは煎じて服用できる。
根に近い白い部分はシャキシャキして、ほんのり甘い。
(食べたことはありませんが、歯ごたえが癖になるらしいです。)
エディブルフラワー(食べられる花)として食卓を華やかに。
(クワンソウは匂いやえぐみがあるので、下準備としてさっと茹でてから調理しましょう。)


 その他の効能|沖縄民間療法

  • 不眠症
  • フィラリア症
  • 膀胱炎
  • 腎臓
  • 興奮
  • いらいら
  • 強壮剤
  • 黄疸
  • 止血
  • 消炎
  • 利尿作用
  • 貧血

民間療法は医学的根拠に欠けてはいるものの、
昔の沖縄の人々は、このような症状のときに利用していました。


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 参考文献
沖縄民俗薬用動植物誌
監修:飛永 精照 編集:前田 光康/野瀬 弘美
出版:ニライ社

琉球薬草誌
出版:琉球書房 著者:下地清吉

入門沖縄の薬草
著者:吉川敏男
出版:ニライ社

沖縄八重山発 南の島のハーブ
出版:南山舎 著者:嵩西 洋子


 クワンソウを効率よく食べる方法はどれ?

ちょっと栄養素の目線から考えてみました。

クワンソウの成分

農林水産物データベース参照

成分名 単位
エネルギー 41.0

171.5

kcal

KJ

タンパク質 0.9
脂質 0.2
カルシウム 29.5 mg
1.05 mg
(ビタミンA)

レチノール

カロテン

レチノール当量

0

293.0

48.0

(ビタミンB)

B1

B2

B6

0.05

0.03

0.077

mg

mg

mg

ビタミンC 13.0
ビタミンK 29.0
食物繊維

水溶性

不溶性

0.2

3.3

ビタミンAとビタミンKは不溶性なので、油と一緒に摂取するとよい。
ビタミンB群は水溶性なので、水に溶けやすい。
食物繊維の不溶性が多めに含まれているので、油との相性がよい。

と、いうわけでクワンソウは油を使った料理のほうが栄養成分を効率よく摂取できると思われます!
おもしろい実験記述をみつけたので、ここからも油を使った方がいいかもよ?と推測できます。

アキノワスレグサのカロテノイド含量と葉または花の添加による”ひらやーちー”と”ちんすこう”の抗酸化能の変化

クワンソウを食べるなら天ぷらがおすすめ。
または炒め物にするなど。
お浸しで食べるならオイルをかけて頂きましょう。

匂いやえぐみがあるので、下茹では必ず行います。
茹でることでビタミンB群の成分が逃げるではないか!と言いたいところですが、
さっとゆでれば、消失は2~3割程度。あまり気にしないくていいかと思われます。
それよりも、残った不溶性ビタミンを頂くほうが効率がいい!というわけです。

必ず油を使え!というわけではありません。
お好みの調理法で、おいしく頂きましょう!

脂溶性ビタミンリンクバナー

行ってみたいなクワンソウ畑
花は9~11月。葉は1~2月。茎は2~5月に収穫されるクワンソウ。
今帰仁村にクワンソウの花つみ体験ができる場所があるそうです。
じつはまだ行ったことがありません。
沖縄にいるのに、沖縄の人なのに信じられない。
ヒドイ話です。
必ずや行って見せますクワンソウ畑。
予約するとお花摘み体験ができるようです。見学だけでもできるみたいです。

眠り草本舗公式サイト

 なぜ沖縄の人だけが睡眠改善を知っていたのか

クワンソウは温暖地域で自生している植物だそう。
(生育場所:九州南部および南西諸島)
しかし唯一、「睡眠」の効能についてうたっていたのは沖縄だけだったそうです。
推測ですが、琉球王朝時代から親しまれていたクワンソウ。
身近に食べ続けていた実体験から生まれた物だったのではないでしょうか。
即効性がないので、一度食べるだけでは知りえないことです。

沖縄の食文化には医食同源が備わっていました。
食べ物がなく、多くの野草を普段の食事に取り入れて飢えをしのいでいたので仕方なく食べていたかもしれません。
結果、自然と効能が身に付き、科学的根拠を知らなくとも
頭痛がヒドイときは、フーチバー。
お腹が痛いときはイーチョーバー。
眠れないときはニーブイグサ(クワンソウ)がいいよね。

みたいな感じでしょうか。

いまはなんでも手に入る便利な世の中ですが、ストレスや病気、睡眠に悩まされる人も増えています。
さまざまなお薬も手に入りますが、
副作用の少ないハーブ(薬草)を生活に取り入れ、改善してみてはいかがでしょうか。